Songs and Colors

歌うように軽やかに、様々な色を身にまとって。

「ヒプノセラピー」体験・雑感(2014.2.11)

2/11に、ヒプノセラピーのグループ体験というのに行ってきた。


終わった直後は余りよく分からなかったのだが、時間を置いて徐々に言語化できてきたというか、自分の意識と繋がって体験が「現実化」されてきたというか。
長文になってしまうが、とりあえずこの体験を文字にしておこうと思う。


これが現実なのか、私の妄想が作り上げた長編大作なのかは、今論じようとは思わない。
ただ「私が体験した」ことであるには違いない。



★☆★☆★


今回初めての体験だったが、最初から状況をすんなり受け入れていた訳ではなかった。
興味はあるけど「半信半疑」…というのが、実際のところだろう。


そんなこともあってか、横たわると途端に自覚する「怖れ」「不安」「何かにしがみつこうとする」感覚。
とにかく、じっと寝ているのに「ジタバタしている」自分が沸き上がってきて抑えられない。


初めは「ダメだよ、落ち着かなきゃ」と思っていたのだが、ふと「仕方ないよね、初めてだし」という言葉が思い浮かび、自分への戒めを少しずつ緩めてあげると、いきなりグンと「そっち側」へ何かがスライドしたのが分かった。


柚楽弥衣さんの歌声が、場の空気を鎮めていくのも分かる。
それでも、私自身のジタバタ感はなかなかおさまらず、意識が妙にハッキリしているのも気になって、こんなんで体験できるのかと焦りさえ感じたくらい。


そんな中、須藤萬夕さんの導きと鐘の音によって、ヒプノセラピーが始まった。


★☆★☆★


「イメージしてください」
何度となく繰り返される、フレーズ。


遠くからではなく、意外と普通に聞き取れているので、私は全く入り込めていないと思っていたけれど、今思うとそういうもんなのかもしれない。


それによって、私はぼんやりと意識を動かす。


頭の前ではなく、後ろ側で「見る」いう言い方が正しいのか分からないが、そこに浮かび上がってきたものを「覗き込む」ように、そっと。
自分の意思や意志が入り込まないように、そういう意図さえ考えないように、そっと、そっと。


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まず最初のイメージは、自分にとってとても大切な、とても安全な場所を思い浮かべることだった。


このイメージはいつも私の中にあって、勝手に「自分の魂の故郷」だと思い込んでいる場所が、やはりふっと浮かんできた。
どこにあるか分からないけど、でもどこかにあると信じている、私だけの場所。


私は草原にいて、小高い丘に続く途中で立ち止まっていて、雲一つないけど少しグレーがかかった青空を見上げながら、いつも風に吹かれている。
多分これは、夜明け前の空。
風は強すぎることもなく弱すぎることもなく、常に吹き抜けていく。
風が吹き抜けていく先に空があって、私はいつもそっちを見つめている。
丘の向こうに何があるのか、私は知らない。


何かあると、私はその風景を思い浮かべて、その風に身を任せて自分を取り戻している気がする。
映像だけではなく、空気の温度や風の強さなどの「体感」を伴っているのが、よく考えると面白いかもしれない。


★☆★☆★


そうしているうちに、また声が聞こえてきた。
「イメージしてください」


今度は、その安全な場所から下っていく階段があり、私はそれを下りて行くのだそうだ。
ということは、つまり、私は丘を下って行くことになる。
振り返ると森のような闇があり、その中を真っ白な階段が延びている。


怖い。
とっさに、私は思った。


階段を下りるカウントダウンの声に促されて、私は慌ててイメージする。
森の木々のように、暗闇がワサワサしている。
白い蔓のような階段だけが、私の足取りを支えている。
ただ、これは私が意識的に作り出したイメージなのだと、その時は考えていた。
現実の私は、お化け屋敷でさえ歩くことができないのだから(笑)


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階段の1番下にたどり着くと、そこには扉があるのだと言われた。
暗い森の中に、ぽっかりとロケットのような形をした木の扉が浮かんできた。
つい「ちょっとホビットの家みたい。映画を観に行きたいと思ってるからかな」などと考えてしまった。
分析しない!と、急いで自分の要素を薄める意識が働く。
まだ、ジタバタした私がそこにいる。


扉を開けて、光の向こう側へ行くようにと促される。
本当は行きたくないのだけど、行かないと話が進まないので「えいやっ!」と飛び込んでみる。


そこには、金色の草原が広がっていた。


同じ場所に戻ってきたのだと、一瞬思った。
だけど、それは金色に輝く穀物(何の植物かは分からない)の畑だった。


一面に続く畑の間を一本道が真っ直ぐ伸びていて、その土の上に私は裸足で立っていた。
貫頭衣のような、麻でできたザックリした服を着ていたので、思わず「古墳時代か!」と喜んでしまった私だけど、自分の家が土壁だったので、何となく外国なんだなと感じる。
アメリカインディアン風でもあるけど、南米のインカとかマヤとかそんな雰囲気もある。
その辺りは、きっといろんなイメージが混ざり合って落ち着いてないのかもしれない。


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自分の家での「食事」のイメージをするように、声が聞こえる。


思いがけず、家族が現れる。
両親と、妹や弟たちの気配がする。
どうやら私は娘で、1番上の姉らしい。


自分が女性だったことに、少なからず私は驚いている。
現実の私は「女性」であることに不慣れだと感じていたから、今まで女性だった経験がないのではと思っていたからだ。
そうじゃなかったことに、何だか少し嬉しくなる。


食卓の上には、粒入りのコーンスープとパンのような食べ物。
私のコーンスープ好きはここから始まっていたのか!などと、また余計な感想が飛び込む(笑)
質素な食事だが、騒がしく楽しい団らんの風景が見えた。


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そして、声が聞こえる。
「1番嬉しかった出来事をイメージしてください」


嬉しかったこと…そう意識を向けた時、今まで感じたことのないような魂の喜びを全身で受ける。
身体が熱くなって、何だか身震いしているのが分かる。
「何で?何で?」と、私はただただ困惑する。


そして。
ハッキリ分からないけれど、私の向かい側に誰かが立っている。
「あぁ、あなただ」と、私は微笑む。
そう、私はとても大好きな人と一緒にいて、一緒の時間を過ごしている。


魂が震えるような、そんな喜び。
そんな経験をしていた自分に、私も微笑む。
本当に、本当に、嬉しかった。


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そんな余韻に浸っていると、再び声が聞こえる。
「それから、重要な出来事があなたに起こります」


重要なこと…重要なことって???


次の瞬間、私は暗闇の中にいた。
暗闇…というか、穴の中?
「まさか、私は死んだの?」


よく分からないまま、私は穴のような暗闇に落ちていくような、自分で降りていくような感覚の中にいた。
あんなに熱かった身体が、どんどんどんどん冷えていく。
心も、どんどん冷えていく…感じなくなっていく。


そして、うっすらと自覚する。
「あの人が、死んだのだ」


半身を失う、という表現をよく聞くけれど、半身というより全身を失ったような喪失感だった。
スゴい。
何故か冷静に思う。


今考えれば、そっちに引っ張られ過ぎないように、無意識に私は現実の意識を近付けていたんじゃないだろうか。
そうでなければ、恐らく耐えられない。


やがて落ちていく感覚は少しずつ薄れ、次第に自分の心が落ち着いていくのが分かる。
いや、違うな。
心が凪いでいく、という感覚が近い。


たまに感情を凍結してしまうことのある私だが、それとは違って、もっと深いところに心がいる。
哀しみも喪失も全て受け入れ、共に生きることを選んだのだろうか。


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「あなたは、死の間際にいます」と、声が聞こえる。
やはり、私はまだ死んでいなかった。


そして年老いた私が、寝台に横たわっている。
周囲に、家族の気配がする。
誰がいるのかは分からないが、穏やかな気持ちで私は死を迎えようとしている。
私は、幸せな人生を送ったのだ。


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この一連の流れで、私はかなり疲労していたように思う。
というのも、ここから先の展開がおぼろげにしか覚えていない。
断片的にしっかり記憶している部分もあるが、その時のイメージも具体性が欠けるものが多かった。
とりあえず列挙しておく。


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「あなたの魂は身体を離れ、天井からあなたを見ています」


いつもの幽体離脱か、と思う。


一時期、やたらとそういう夢を見ることがあって、離魂病ではないかと危惧したこともあったけど、どうやら今は落ち着いたらしい。
っていうか、自分では意識しなくてさ迷ってたこともあったようなので、もしかしたら未だに治ってないのかもしれないが(笑)


それはさておき、魂を身体から離す、身体から離れる………あれ?
天井などあっという間に通り抜け、お空の彼方から下を見てる。
下に降りようとするが、浮遊したまま降りられない。


言っておくが、私は高所恐怖症だ。
特に、足元が不安定な状態で高い所に居続けるのは不可能だ。
だけど、これは怖くない。
もしかすると、身体がないからだろうか。


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「あなたへのメッセージを持った存在がいます」


私がとっさに見たのは、中世のお城でよく見かける逆五角形のような旗だった。
模様は覚えてないが、調べたら実在するのかもしれない。
「存在って生き物じゃないのか」と思わず笑ってしまったけど、風になびく旗が付いた木の棒が近付いてきて、確かに私の目の前に存在している。


「メッセージを受け取ったら、握手かハグをしてあげてください」


えぇぇぇぇ?????
握手…はムリだから、えぇとハグ?
ど、どうすれば良いんだよ、これ???


すっかりパニくって、どんなメッセージを受け取ったか覚えがない(笑)
皆でシェアした時は「風を感じたので、風のようにずっと止まらないで動き続けていなさい」という意味かなと話したけど、まだ見えないメッセージがあるのかもしれない。
多分いつものように、忘れた頃に合点がいくのだと思う。


そんな訳で、私は旗の付いた木の棒とハグをした(笑)


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「あなたへのギフトを持った存在がいます」


最初は、大きな炎が近付いている、と思った。
「また生き物じゃないのか(笑)」と笑いかけたが、どうやら炎をまとった動物らしい。
シルエット的に大きな鷹だか鷲だか、そんな鳥みたいな存在が、形の整っていない凸凹した何かを手渡してくれた。


「何のギフトか分からない場合は、質問してみてください」


ま、当然ながら質問するわな(笑)
でも、解答をもらえた記憶はない。
そもそも、言葉で会話できるような相手ではなかったようだ。
今でも私の手の中には、その訳の分からないものが納まっているんだと思う。


「同じように、握手かハグをしてあげてください」


でぇぇぇぇ!?
だって、炎だよ?燃えちゃうよ?


逡巡してから、意を決してハグをした私は、その燃えさかる存在と目が合った。
鋭い、揺るがない視線だった。
鷲や鷹だと思ったのは、その眼のせいだったのかもしれない。


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あの、大切で安全な場所に戻ってきたのが先だったか、柚楽さんの歌が聞こえてきたのが先だったか覚えてないが、急激な脱力と安心感が全身を包み、少しずつ私は現実に戻ろうとしている。


柚楽さんが、歌いながら眉間の辺りをちょん、と触ってくれて、それがキッカケで、また身体が緩む。
なだめるような、鎮めるような歌声が続いたかと思うと、いきなり大地から湧き出るような声で歌い上げてくれて、その瞬間、私の身体にドォッとエネルギーが流れ込むのを感じる。


「体感」


まさに、その言葉がふさわしい。
例え私の妄想だったとしても、全身の感覚で味わったことなのだから、私にとっては実際に体験したのと同じことだ。


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現実の世界に戻った時、身も心もスッキリし過ぎて、それまでに起こっていたことがスポンと抜け落ちていた。
夢を見たことは覚えてるんだけど、何の夢だったか覚えてない!…というのと似てた。


ただ、みんなで体験をシェアするということになった時、それに刺激を受けてポロポロと思い出すことができた。
そして今、こうして書き起こしてみて、こんな長編になるとは夢にも思わず…。
そりゃ〜疲れもするわな(笑)


一応「過去生」を体験するということだったんだけど、私の隣にいた方はどうやら「未来生」を旅していたらしい。
いいなぁ、SFか〜♪
私もいつか、宇宙船に乗った自分を体験してみたい。


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いわゆる「内観」というものを、誰かに教わった訳ではなく自己流で実践してた私だけど、あの感覚とヒプノセラピーは全く違うんだなということが分かった。
いや、もしかしたら違うのは私だけの感覚で、全く同じだよと言う人もいるかもしれない。
こういうのって、何が正しくて何が正しくないとかじゃなくて、きっと「みんな正しい」んだと思うから、自分の感覚は大事にしたいと思う。
それに、これは今回だけの感覚で、次は全く違ったものになる可能性だってある。


風のように止まらず、常に動き続けていく。


それは、心のありようだって同じなんだと思う。
私にはいつも、そういう風が吹いている。
そして、まるでナウシカのようだと思って、心の中で大笑いした自分がいる。


いつも良い風が、皆に吹きますように。